高い技術を持つ中小企業が多い日本では、事業承継が進まず、創業者や熟練技術者の高齢化を理由に廃業を選択する企業も少なくありません。
そのため、会社の将来を担う若手リーダーの育成が、待ったなしの重要な経営課題となっています。
本記事では、なぜ若手リーダーが重要か、生産性が上がらない根本的な理由や次世代の若手リーダーが身につけたいスキルを中心に解説します。
経営者を悩ます人材の悩み
「若手リーダーが育たない」背景には、今まで管理職の育成に力を入れてこなかった企業側に大きな責任があることは、本メディアでも繰り返し指摘させていただいています。
しかし、「若手リーダーが育たない」要因は企業側だけでなく、従業員側にもあります。
巷で囁かれる「働かないおじさん」や「ベテラン気質おじさん」の存在です。
若い時は低い給与で生産性が高かった若者が管理職に登用され、適切なマネジメント力をつけないまま管理職に登用された結果、生産性の低い人材に育ってしまったことが挙げられます。
もちろん、すでに指摘している通り、管理職への投資を怠った企業側にも責任がありますが、なんとなく年齢を重ねて、生産性を高めないまま、知らずうちに若手社員(若手リーダー)の意欲を奪っている「働かないおじさん」や「ベテラン気質おじさん」にも大きな責任があります。
こうした労働環境が、不確実性の高い経営環境にじわじわと悪影響を与えています。
また、職人気質のベテラン社員も若手リーダー育成の障害になっている現状があります。
職人気質で年配のベテラン社員は叩き上げの方も多く、現場で地道に技術を培ってきた経験、「自分の力で高い技術を身につけてきた」という自負が若手への技術承継が進まない環境を生み出していると言えます。
こうした「何回言ってもやってくれない(仕事をしない、承継をしない)」働かないおじさんやベテラン気質おじさんに、経営者や経営幹部、管理職は辟易している現状があります。
そして、そうした働かないおじさんやベテラン気質おじさんに嫌気を指しているのが他でもない若手スタッフです。
「働かないおじさんは生産性が低い」、「ベテラン気質おじさんは承継が進まない」
この2点が若手スタッフの離職をはじめ、さまざまな人材課題の要因と考えら得ます。
若手スタッフの悩みは世代間ギャップ
若手スタッフの悩みは、生きてきた時代が違うことによる世代間のギャップから生じる、やりにくさです。
つまり、社会人になってから社会環境も労働環境も全く異なる世代がひとつの職場で働くこと自体がそもそも難易度が高く、さまざまな職場トラブルが発生しています。
そうした若手スタッフと年配社員の世代間ギャップを解決するのが20代後半〜30代中盤の若手リーダーとなります。
日本の中小企業が持続可能な事業を行うためには、若手リーダーの育成、つまりは若手リーダーへの研修を人材投資として予算を投下しなければなりません。
働かないおじさんとベテラン気質おじさんを動かす方法
「何回言ってもやてくれない」仕事をしない働かないおじさんや、承継をしないベテラン気質おじさんを動かす方法がひとつだけあります。
階層を飛ばして、若手リーダーの育成を行うことです。
つまり、「何回言ってもやてくれない」働かないおじさんや承継しないベテラン気質おじさんをすっ飛ばして、権限委譲や教育を施すことが大事です。
多くの中小企業は縦割り社会であり、こうした階層をすっ飛ばした組織体制の実現は難しいと言えます。
しかし、今までの通りの組織体制では何も変わってこなかったことが明らかな場合、「階層を飛ばした」組織体制を断行することが大切となります。
働かないおじさんやベテラン気質おじさんは良い意味でも悪い意味でも「これまで会社に貢献してきた」という一種のプライドのようなものがあります。
そうした○○おじさんを差し置いて、若手リーダーに権限や教育を集中することで、働かないおじさんやベテラン気質おじさんにプレッシャーをかけることが可能となります(危機感を感じ、何かしらの動くようになる)。
経営者として必ずやっておきたいことは、働かないおじさんやベテラン気質おじさんが若手リーダーの邪魔をしないように仕組み化することです。
階層を飛ばして、若手リーダーを育成しても働かないおじさんやベテラン気質おじさんに邪魔をされては元もこもありません。
「すぐに否定する」「どうでも良い仕事を依頼してくる」など若手リーダーの意欲を削ぐ行動は厳重に禁止する旨を伝え、若手リーダーの補佐を人事評価に組み入れて、厳密に評価するなど仕組み化することが大切です。
難しい階層をすっ飛ばす組織構築をあえて実施する(若手リーダーの育成)ことで、「働かないおじさん」や「職人気質おじさん」にプレッシャーをかけることにつながる
中小企業こそ人材育成は選択と集中を
中小企業はお金も時間も限られています。そのため、人材育成に必要な研修も取捨選択しなければなりません。
しかし、多くの中小企業の経営者は「まずは部長クラスから研修を行いたい」と考えられる方もいらっしゃいます。
残念ながら、現時点で若手リーダーの育成ができていないのであれば、上の役職から順番に研修をおこなっていては遅く、生産性の向上も技術承継も進みません。
そのため、若手リーダーの育成に課題を抱えていらっしゃる経営者は、まず年功序列的な「上の役職から順番に実施していく」という考えは見なさなければなりません。
近年では、部長クラス向けの研修を減らし、次世代を担う若手リーダーや幹部候補への研修依頼が増えています。
「限られたリソースの中で最適な人的投資は何?」かを改めて見直す必要があります。
若手リーダーが身に付けたいスキル:1on1面談
大橋高広が若手リーダー研修において、若手リーダーが身につけたいスキルのひとつに1o1面談の実施スキルが挙げられます。
本来、1on1面談は部長や課長をはじめ、上位の管理職の役割です。
しかし、前述の通り、「働かないおじさん」や「ベテラン気質おじさん」は適切なマネジメントスキルを身につけることなく、役職に登用している可能性が高いと言えます。
そうした人材に1on1面談をやらせても「最近、どう?」という人材育成では最もやってはいけない1on1面談を実施することとなり、若手社員の育成はおろか、むしろ会社に対しての不信感を深める結果となります。
そこで、若手リーダーの育成としてマネジメントスキルをつけさせる方法のひとつに「1on1面談」の実施は若手リーダーの役割として権限を委譲するということが効果的です。
会社は、部長クラスの人材には、若手リーダーが行った1on1面談の内容を報告させるだけを義務付けます。
そうすることで、今後、管理職に必要な適切なマネジメントスキルである「部下との信頼関係を構築する"聞き出す力"」を伸ばせることにつながります。
多くの中小企業が実施していないからこそ、若手リーダー研修が必要
経営者を悩ます「働かないおじさん問題」や「技術承継が進まない問題」を解決し、持続可能な会社を再構築していくには、若手リーダーの育成が欠かせません。
大橋高広が提供している「組織の重要な枠割を担う若手リーダーが学ぶ!」若手リーダー研修では、若手スタッフの離職に悩む中小企業を対象に、採用難の時代における「人材定着」や「人材育成」に焦点を当てた研修を実施しております。
組織が若手リーダーに期待する役割や「上としたとの板挟み」にどう向き合うか、昭和型組織から脱却し、これからの役割認識やチームづくりの内容から、令和時代に求められる部下育成メソッド、1o1ミーティングの正しい進め方、パワハラを恐れずに部下を育成する方法など実践的な若手リーダーの育成研修を提供しております。
若手リーダーの育成が急務と考えている、課題を認識している経営者の方はぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
経営者を辟易とさせる「働かないおじさん」や「ベテラン気質おじさん」問題、そして生産性の低下や若手スタッフの離職は、中小企業にとっては死活問題といえます。
このような重要かつ難しい経営課題を解決に導く方法は、若手リーダーの育成に他なりません。
旧態依然の職場環境や人材育成では、不確実性の高い世の中を生きていくことは難しいと言えます。
本コラムが「まずどの人材に投資すべきか?」を今一度、見直すきっかけとなれば、幸いです。
少子高齢化や社会課題の高度化により、全業界において人手不足が深刻です。