人が育たない要因には、「管理職のあり方」が大きく影響しています。
中小企業にみられる「人が育たない要因」や「人材育成の課題」について解説します。
若手社員が育つ前に辞めてしまう企業は要注意
企業の成長には社員の成長および、企業の未来を背負う若手社員(部下)の成長が必要不可欠であり、若手社員が育つ前に辞めていく企業は、企業の成長を見込めないため要注意です。
以下に当てはまるような企業は、人が育ちにくい企業の特徴に当てはまるため、注意が必要です。
人材確保に苦労している
人が育つ前に辞めていくような企業は、常に人材確保に苦戦しています。
人が育つ前に辞めてしまい、人材確保が安定しないと、採用に多くのコストと時間がかかるため、企業経営にとって大きな打撃となります。
また、人が育つ前に辞めてしまうような企業では、“成長した社員”が少ないため、会社の顔として誇れるような若手社員がおらず、就活生にとって魅力を感じられません。
さらに、離職率が高いことで、就活生をはじめとする求職者から、「何か問題があるのでは?」と、いわゆるブラック企業として見られてしまいがちです。
このように、人材育成を怠ることで人材確保に苦戦するという悪循環が生じてしまいます。
優秀な人材が少ない
人が育たないような企業では、優秀な人材が少なく、「95%の仕事ができない人を5%の優秀な人材でカバーしている」状態です。
95%と5%の社員では、当然仕事に対するモチベーションも異なり、95%の社員は“与えられた業務をこなすこと”で満足してしまうことに対し、5%の優秀な社員は、“結果や成果”を追い求めます。
社員が意欲的に“結果や成果”を求める状態でないと、企業は現状維持どころか、衰退していってしまいます。
企業の存続のためにも、優秀な人材の確保および人材育成は重要な課題のひとつです。
人材育成計画ができていない
人材育成とは、「計画に基づいて人を育成していくこと」であり、「育成計画」が重要となります。
しかし、企業の多くでは、「売上計画」についてはしっかりと計画するものの、「育成計画」については、それほど重要視できていない企業がほとんどです。
特に、人事部のないような中小企業では、そもそも「人をどのように育てていくか」という発想自体もないため、育成計画もありません。
育成計画において重要なのは、「このような人材に育ってほしい」という目標設定です。
その目標のベースとなるのが「等級制度」であり、人事部があり、人事評価制度が整っている企業であれば、社員は、与えられた役割を全うし、成長していくのです。
人が育たずに悩んでいる企業は、そもそも「人材育成計画」ができていないのではないでしょうか。
若手社員(部下)が辞めていく理由
人が育たず悩んでいる企業の多くが、“若手社員(部下)”が、一人前社員となる前に辞めていってしまうことで悩んでいるかと思います。
若手社員(部下)が辞めていく理由について解説します。
上司による部下育成ができていない
社員教育や研修に力を入れているにもかかわらず、若手社員が育たない理由は、「上司による部下育成ができていない」ためです。
多くの中小企業において、上司(管理職)が部下の育成方法を知らない、できていないという状況がほとんどであり、部下(若手社員)が育たないという課題・問題が発生しています。
いくら新入社員研修や若手社員の教育に力を入れていても、上司の適切なフォローや部下育成がないと、若手社員は育ちません。
職場の雰囲気が悪い
人が育たない企業では、職場の雰囲気が悪い傾向があります。
人が育たないような職場は、社員全体のモチベーションが低く、活気もありません。
社員それぞれが、与えられた業務をやりすごしているような雰囲気で、コミュニケーションもそれほど活発ではありません。
また、上司の態度が大きく、常にギスギスしているような職場も、当然、人(若手社員)は育ちません。
威圧的な上司がいるだけで、若手社員のモチベーションは失われ、成長意欲も失せてしまいます。
納得できる評価を受けていない
部下(若手社員)は、上司(管理職)から納得できる評価を得られていないと感じると、「この人のもとでは成長できない」「理解してもらえない」と、成長意欲を損ねてしまいます。
人(若手社員)が育つ前に辞めてしまう企業では、そのように、上司が適切に部下を人事評価できていないことが理由のひとつであることが多いです。
部下の成長意欲を保つためには、部下が納得できるような、適切な人事評価をおこなう必要があります。
上司の勘違いによる間違った部下育成
人が育たず悩んでいる企業の多くは、上司による間違った「部下育成」が横行していることがほとんどです。
不適切な評価方法(人事考課)
人事考課は、企業の成長(人材育成)と、社員のモチベーションを保つために重要な要素のひとつですが、不適切な方法による人事考課は、かえって逆効果となるため要注意です。
人事考課表を作成し、“書くだけで終わり”となっているような、その場しのぎの人事考課では意味がありません。
人事考課(評価)は、日頃から部下について観察し、面談等で部下の悩みや意見を受け入れ、「どのような点においてどのような成長を遂げたのか」しっかりと評価する必要があります。
形だけの人事考課は、部下側にも見透かされ、上司としての信頼もなくしてしまいます。
コミュニケーションの勘違い
企業が良好な経営活動をおこなっていくうえで、適切な社内コミュニケーションはいうまでもなく必要不可欠です。
しかし、人が育たないような企業では、上司による「コミュニケーションの勘違い」が発生しています。
特に、比較的社員の少ない中小企業では、社員同士の距離が近いため、報連相や情報共有がうまく取れていると思い込みがちです。
また、上司が一方的に「ただ話しかけているだけ」であるのに、「コミュニケーションが積極的に取れている」と自負しているような場合もあります。
このように、コミュニケーションが果たすべき役割を考慮していない「誤ったコミュニケーション」が横行することで、本来コミュニケーションが果たすべき役割が達成されていない、コミュニケーション不足が起きてしまうのです。
優秀な上司ほど部下が育たない?
優秀な上司のもとであれば、必然的に部下も優秀に育つと思われがちですが、優秀な上司ほど、部下が育たない場合もあるため注意が必要です。
仕事ができても部下の教育はできない
仕事ができるからといって、部下の教育ができるとは限りません。
特に、中小企業の管理職の多くがプレイングマネージャーであり、業務をこなす能力や、営業成績は長けていても、「コミュニケーション力」に欠けるタイプも多く、部下と円滑なコミュニケーションをおこなえない上司(管理職)もいます。
固定概念やプライドによる弊害
管理職に多い問題のひとつとして、「固定概念やプライドによる弊害」があります。
適切な部下育成ができていないにもかかわらず「自分の方法が正しい」と誤った固定概念やプライドをもっていたり、目の前の業務をこなしているだけや、指示通りに人事評価をおこなうだけで、「管理職としての役割を果たしている」と勘違いしていたりするような管理職のもとでは、当然、部下は育ちません。
上司による誤った固定概念やプライドは、部下の成長を妨げます。
若手社員(部下)を成長させるためには
若手社員(部下)を成長させるためには、「上司の育成」に力を入れ、「社員全体のモチベーションを高める」ことが必要です。
上司の育成に力を入れる
企業における人材育成となると、どうしても「若手社員の育成」にのみ力を入れがちですが、若手社員の成長のためにはまず、「上司の育成」が重要です。
上司を育成し、「管理職としてのあり方」を身につけさせることで、部下の成長につながります。
社員全体のモチベーションを高める
若手社員(部下)を成長させるためには、上司を育成し、組織風土を整え、社員全体のモチベーションを高めることが大切です。
社員の成長には、環境が重要であり、ひとりひとりが成長意欲をもち、気持ちよく働けるような職場環境づくりが大切です。
管理職研修を活用して社員の育成につなげましょう
企業における人材育成では、「管理職の育成」が重要です。
しかし、管理職に必要なスキルは、日頃の業務ではなかなか身につけられません。
そのため、管理職の育成には、「管理職研修」の活用が有効的です。
管理職研修を実施し、企業全体の成長につなげましょう。
まとめ
企業が末長く成長していくためには、若手社員の成長が欠かせません。
しかし、若手社員の成長には「管理職のあり方」が大きくかかわっており、若手社員を育成するためには、まず、「管理職の育成」に力を入れなければなりません。
管理職に必要なスキルは、日頃の業務で身に助けることが難しいため、「管理職研修」を活用して、企業の成長につなげることをおすすめします。
企業の成長にとって「人材育成」は必要不可欠な要素ですが、「人が育たなくて困っている」企業も多いのではないでしょうか。