現役の管理職でも、この役割認識をしっかりとせずままに管理職になってしまった人も多く、これから管理職に昇進する人にとっては、絶対に必要な意識改革です。
不確実性の高い世界経済において、日本の中小企業が生き残るためには、管理職を育成することが鍵です。
優秀な管理職を育成する上で最も大切や意識改革の役割認識を解説します。
役割認識とは
役割認識とは、リーダー行動の意識のひとつで、企業においては管理職に期待される役割を管理職自身が認識し、組織運営を活性化させることを目的にしています。
また、管理職は部下やチームメンバーの人材育成も重要な業務となり、管理職自身が役割を明確し、会社にとっての人材育成の必要性を認識しなければなりません。
さらに、役割認識は目標設定とも強く結びついています。
会社の課題や目的を自分事にし、会社が生み出す利益を最大化させる意識・行動を強く認識させ結果に結びつく目標と行動目標を立案・実施することによって、企業は売上・利益を向上できます。
そのうえで、管理職自身、部下、チームの目標を実現可能かつ具体的な行動計画にまで落とし込んでいきます。
このように「会社の目的」を自分事にし、「人材育成」の必要性を認識し、そして実現可能かつ具体的な「目標設定」をおこなっていくための意識改革・行動改革が役割認識の役目です。
なぜ今、管理職が役割認識が必要なのか
不況や自然災害、不安定な世界上税において、日本経済は30年以上停滞しており、デフレだけでなく、スタグフレーション(景気が衰退しながら、同時進行で物価が上昇する現象)が進んでおり、大企業をはじめ、成果主義や職務に基づいた人事考課を実施する企業が増えています。
また、少子高齢化が進む日本において、経済を担う若手人材が減少する中、成果を上げた人が必然的に管理職はプレイングマネージャーとなってしまいます。
本来、管理職に必要なコミュニケーション能力や育成スキルを持たぬまま、管理職になってしまう人は、自分の中の成功事例や自分と同じ目線での育成に偏りがちです。
従来、管理職には強いリーダーシップ(組織が進むべき方向性を示し、チームメンバーを鼓舞し、牽引していく力)が求められていましたが、現在では”聞く力”をはじめとした「フォロワーシップ」が必要とされています。
チームメンバーが高いパフォーマンスを上げるために、能動的かつ自律的に考え、支援・貢献すること。管理職はリーダーシップよりも部下やチームメンバーを支援・貢献するフォロワーシップが求めれます。
かつてのリーダーシップとフォロワーシップの違いは、チームメンバーの支援・貢献が第一に掲げられていることです。
部下の一人ひとりの適性に合った業務を把握・理解して、最大限のパフォーマンスを出してもらうためには、管理職が部下それぞれを支援・貢献するための自分自身の役割を認識しなければなりません。
また、この役割認識は管理職だけでなく、すべての階層(新人社員、若手社員、中堅社員、若手管理職、中堅管理職、上級管理職)にも実践することができます。
新人時代より役割認識の必要性を理解させながら、業務にあたることによって、管理職として必要な意識やスキルを把握した上で昇進を迎えることができます。
管理職階級別:必要な役割認識とは
管理職といっても係長や課長代理などの若手管理職をはじめ、部長や執行役員といった上級管理職も存在します。
もちろん、管理職の階級によって、役割認識の内容も異なります。
若手管理職の役割認識
若手管理職の役割は、個人の成果ではなく、チームとして成果を出すことに重きが置かれます。
そのため、チームメンバーのそれぞれの適性を把握し、実現可能かつ具体的な目標設定と行動計画を立てることが役割となります。
また、同時にチーム内の業務効率化も考えて、チームメンバーがどうやれば、しっかりとした成果を出せるかを常に考えなければなりません。
この若手管理職の段階からしっかりと役割認識の必要性を理解しておかなければ、中堅管理職・上級管理職になった後に大きな苦労をすることになります。
中堅管理職の役割認識
課長や部長代理といった中堅管理職では、会社の目的を自分毎に認識し、組織の経済活動を通して、課題を発見し、解決へと導くことが主な役割となります。
組織全体でPDCAを回し、勝ちパターンの分析や事業部門全体の対策やリスクを把握し、組織を運営しなければなりません。
そのため、上級管理職と若手管理職のほか、現場の社員とも良質なコミュニケーションをおこない、フォロワーシップを行う必要があります
上級管理職の役割認識
部長職以上の上級管理職は、一つの組織だけでなはなく、異なる利害関係がある組織とのコミュニケーションも増えます。
まさに組織を横断しての調整が必要となり、ぶつかり合う利害があったとしても粘り強く、やり抜くことが求められます。
また、業績拡大や全社的な課題やリスクへの対策も率先して解決に導かなければならず、経営陣に近い立場で組織全体を動かす組織マネジメントの役割を担います。
役割認識は中堅社員から意識をさせる
役割認識は全階層の社員に適用できますが、管理職の育成を基準に考えた場合、入社3年目から役割認識の必要性を認識させると効果的です。
特に中小企業では入社3年目を迎えると、中堅社員として上司とのコミュニケーション機会も増えて、新人教育(メンター)も担います。
同時に現場業務の中心を担うため、自分の役割を認識させることで、さらなる成長が期待できます。
また、中堅社員から「リーダーシップとは何か?」と考える機会も増えてきます。前述した通り、今後の管理職に求められる能力はフォロワーシップであり、他者への支援・貢献スキルとなります。
「近い将来、管理職に昇進する」と意識させつつ、役割認識や行動改革を行っていく必要があります。
大橋高広は管理職研修に特化したプログラムをご用意しております
大橋高広は中堅・中小企業の管理職育成に特化した管理職研修プログラムをご用意しております。
- 管理職としてやるべき内容や対人コミュニケーションスキル、フォロワーシップを身につけるための役割認識
- 部下の育成・部下の”本音を聞き出す”面談方法
- 成果を出せる社員を生み出す人事評価・目標管理のやり方
- 職場のコミュニケーションにおける上司の役割を知る
- 職場改善の3つのポイントを解説
『人事制度・管理職研修・職場改善研修』の専門家として商業出版3冊を出版し、人事現場の中に入り込み、従業員ひとり一人の現場の声を直接聞き、人事コンサルティングに反映している管理職研修となります。
役割認識:まとめ
多くの企業は新人・若手社員には育成予算をかけますが、管理職の育成に予算を割きません。
しかし、本当に予算をかけるべきは管理職の方々です。管理職が機能するかどうかで、組織マネジメントの質も企業としての成果も大きく変わってきます。
中でも普段の業務にマネジメント、人材育成と管理職は多忙を極め、盲目になりがちです。
今一度、管理職としての役割を認識させ、組織としてのパフォーマンスを最大がするために、管理職研修は必須といえます。
組織が瓦解し、手遅れになる前に、経営者は管理職研修の重要性を今一度認識しましょう。
管理職研修で必ずと言っていいほど組み込まれているのが”役割認識”です。