では、人事に向いている人とは、どんな人なのでしょうか?どんな能力を持っている人なのでしょうか?
人事に不可欠な能力とは??
人事に求められる能力は何かといえば、間違いなくコミュニケーション能力だと言えるでしょう。
人事の役割である「採用」、「育成」、「評価」の場面を想像してみてください。
もちろんパソコンに向かっている姿もイメージできますが、多くは人と対面している光景を思い浮かべるのではないでしょうか?
人事には、これら3つの役割を通じて、社員の希望や不満を聞き出し、会社が抱える「人的経営課題」を発見し、解決するという最も重要なミッションがあるのです。
しかも普通、社員の皆さんは会社に対する希望や不満はあまり言いたがりません。
一つ間違えると、会社批判、社長批判と受け取られてしまい、不幸な結果を招く可能性があるからです。
従って、社長とのいわゆる「飲みニケーション」では、決して人的経営課題は見えてきません。
この点は錯覚している社長も多いのではないでしょうか?
このように、あまり言いたくないこと、本音を聞き出すことはなかなか容易ではありません。
人事に向いている人とは、最高のコミュニケーション能力を持っている人であることをご理解いただけると思います。
人事に向いている人のタイプとは??
コミュニケーション能力が求められる仕事として、多くの方が最初にイメージするのは「営業」ではないでしょうか。
営業というのは取引先の経営課題、潜在的ニーズを掘り起こし、自社製品を提案、販売するという仕事です。
それでは、営業タイプと人事タイプには違いがあるのでしょうか?
人事に向いている人のタイプとは何でしょうか?
人に関心がある
営業タイプの人の中には、人と接するのが好きなのはもちろんですが、「自社製品」や製品のベースになっている「テクノロジー」などに関心を寄せる方も多いと思います。
何とか、この製品を世に知らしめたいと日々奮闘している社員も会社にとっての宝です。
では、人事タイプは何に関心を持つものでしょうか?
それは人です。
例えば営業タイプの人は、取引先の担当者が退職した際、「新しい担当者は誰か?」「また一から信頼関係を構築しなければ」と考えるものです。
つまり、「退職した」という事象に焦点を当て、次の行動を考えるのではないでしょうか。
一方、人事タイプはどうでしょうか。
「あの人はなぜ辞めたんだろう?」
「何か嫌なことでもあったんだろうか?」
と「退職した人」に焦点を当てて、考えるのです。
この感覚は人事にとって、とても大切です。
社員が辞めるのには、必ず理由があります。
そして、その理由の多くは会社に対する不満なのです。
「スキルアップのために」や「家庭の事情で」といった表向きの理由の裏に隠された本音を探り当てるためには、人に関心を持つことができなければならないのです。
秘密を守ることができる
人事とは人と向き合う仕事であり、本音で語り合うことが重要です。
しかし、本音はあまり知られたくないというのが人の心情です。
人に知られたくないことを教えてもらうためには、こちらも人に知らせてはいけません。
当たり前のことですね。
これが担保されないことには誰も本音で話してくれません。
真実は闇の中ということになってしまいます。
論理的な思考ができる
本音で話をしていると、ついつい気持ちが入り込みすぎたり、直感に頼った判断をしてしまうことがあると思います。
いくら本音で話してもらったからといって、その内容が「無理難題」、「身勝手な要求」であれば、会社にとって全く無意味なことなのです。
相手の心情を察するがあまり、下手に同意してしまってはトラブルの元となります。
人事の最終的な目的は社員に「安心感」と「納得感」を持って仕事に打ち込んでもらい、結果として会社の業績に貢献することです。
そのためには、社員と本音でコミュニケーションを取ることは当然ですが、コミュニケーションから得られる事実の中から、何が重要で、何が重要でないか、何を取り入れて、何を捨てるか、といった冷静な判断、論理的な思考が求められるのです。
こんな人事部が会社を強くする!!
これまでは人に焦点を当て、人事というものを考えてきましたが、チームとしての人事、つまり「人事部」に焦点を当て、どのような人事部が会社を強くするのか、考えていきたいと思います。
大企業と違って、中小企業では人事部がないことも珍しくありません。
あっても「総務部人事係」というケースも多いのです。
しかし、いかに人事部が重要か、特に中小企業にとって重要かは、これまでにも申し上げてきたとおりです。
ただ、何事においても言えることですが、単に作れば良いというわけではありません。
自分の会社に合った人事部、言い換えれば、会社を強くする人事部でなければならないのです。
では、会社を強くする人事部とはどういうことでしょうか?
人事に向いている人が持っているのはコミュニケーション能力でした。
しかし、ここで言うコミュニケーションとは、いわゆる「飲み二ケーション」といった非公式なコミュニケーションではなく、仕事としてのコミュニケーションなのです。
仕事としてのコミュニケーションとは、話す側、聞く側がいずれも仕事として会話している状態を指します。
「話す側」は自分が感じている不満を、「聞く側」はその不満をいかに次の対策につなげていくかを、お互いに真剣に仕事として語り合う状態です。
会社を強くする人事部とは、この仕事としてのコミュニケーションが取れる仕組みを提供できるものでなければならないのです。
まとめ
どんな仕事も、コミュニケーション能力があるに越したことはありません。
しかし、人事に向いている人が持つコミュニケーション能力は、いつも人に焦点が当てられているのです。
- なぜ、あの人は会社に不満を持ったのか?
- なぜ、あの人は会社を辞めたのか?
- どうすれば、あの人は会社に残ってくれるのか?
この理由を知るためのコミュニケーション能力を人事に向いている人は持っているのです。
人には向き不向きがあるものです。営業に向いている人、デスクワークに向いている人などがいらっしゃると思います。