事業承継がうまくいかない中小企業は職場に問題あり?どうすべき?

事業承継がうまくいかない中小企業は職場に問題あり?どうすべき?
大橋高広

中小企業の経営者が後期高齢者に近づくにつれて、検討される事業承継。

しかし、中小企業の多くは事業承継がうまくいかないことが増えています。

高齢になり、代々受け継いだ企業を息子に引き継ごうと考えていたのですが、息子は継ぐ気はないようです。
会社の財務状況は問題ないのに何故なんでしょうか?

財務状況は万全なのにご家族や社内から後継者が出ず、事業承継がうまくいかない中小企業が少なくありません。

その理由は「ヒト」にあります。

事業承継がうまくいかない中小企業の特徴
  1. 創業者や社長がワンマン(社長がいないと会社が回らない)
  2. 次世代を育成しようと考える社員やスタッフがいない

創業者や現社長が人格者であったり、社長が動くことで売り上げが上がるような企業は、後継者から見ると社長ひとりの力で会社が回っているため、事業承継をしたとしてもその後に会社が成長していくとは思えません。

また、高度な技術を持つ熟練社員の技術承継が進まないことも後継者が現れない原因のひとつです。

入社しても仕事を教えてくれないような社員がいる会社は、若い人から退職していき、若い人材は入社してきません。

「次世代が育っていない会社を誰が引き継ぎたいか」という考えは後継者候補だけでなく、世間一般の人にも通じる話です。

事業承継を実現するための職場改善

事業承継がうまくいかない理由は財務の問題ではない

大橋高広

日本の中小企業は技術力があり、世界的にも魅力のある産業です。しかし、事業承継がうまくいかない理由は「ヒト」にあります。

昨今では、補助金や助成金で生き永らえる「ゾンビ企業」なる中小企業も問題になっていますが、それ以上に深刻な問題が中小企業の事業承継です。

かつてより、日本の98%以上を占める中小企業の事業承継はうまくいっていません。

しかし、事業承継がうまくいかない中小企業の中には、財務状況もしっかりしており、事業自体も技術力があり、多くのシェアを獲得していることもめずらしくありません。

つまり、財務も万全で事業も将来性があるにも関わらず、後継者も買い手も現れないということは、4大経営資源のうち「ヒト」という資源に問題があるとわかります。

4大経営資源
  1. ヒトモノとカネと情報を活用し、企業の競争力や生産性を生み出す従業員
  2. モノ製品や製品づくりに活用される機器類、土地など
  3. カネ:目的達成に必要なところに適切に投資を行うための経営資金
  4. 情報:企業が持つノウハウ、顧客データ、地域やコミュニティとのつながり(無形資産)

経営資源の中で最も重要な資源がまさに「ヒト」です。

【参考】ヒト・モノ・カネ・情報として計画を立てる~会社の4大経営資源を考える│独立行政法人 中小企業基盤整備機構

事業承継がうまくいかないなら、会社売却(M&A)もできない

大橋高広

後継者が現わらなければ、会社を売却すればいいと考える中小企業の経営者もいらっしゃいます。

事業承継がうまくいかない中小企業は、会社売却(M&A)すらもできない状況に陥っています。

そもそも4大経営資源に全く問題なければ、後継者が現れて、迅速に事業承継が進んでいるはずです。

「事業承継が進まない=後継者候補にとって、会社が魅力的なでない」

この事実に向き合う必要があります。

後継者が現れない会社は買い手である企業(M&A)にとっても魅力的でないということです。

ワンマン社長や頑固な従業員がいる中小企業は要注意

大橋高広

どんな中小企業が後継者やM&Aの買い手が現れない企業なのかを解説します。

後継者や買い手となる買収企業が現れない中小企業は2つの特徴があります。

後継者や買い手が現れない中小企業の特徴
  • 創業者や社長がワンマン
  • 育成をしない頑固な社員(職人)がいる

一代で会社を立ち上げ、大きな売上と利益を上げる創業者はとても優秀な方が多いです。

しかし、社長の力で仕事を得てきた会社は、社長がいなくなるとたちまち会社が回らなくなります。

事業承継やM&Aで会社を引き継いだとしても、社長がいないと回らない会社には価値はありません。

ワンマン経営の会社は後継者が現れにくく、M&Aでの売却金額の算出においても価値が下がりやすい

また、中小企業を支える高い技術力は熟練工を始め、知識と経験が豊富な高齢社員が支えていることがめずらしくありません。

技術承継に前向きな熟練社員がいれば問題ありませんが、「技術承継をすると自分の仕事が失われる」と考える熟練社員はめずらしくありません。

さらに人材育成を人事評価の対象とする人事制度がある中小企業は非常に稀です。

知識や技術が高い社員による人材育成が進んでいない企業は、次世代を担う社員が生まれません。

人材育成が進んでいない中小企業は持続可能な成長が期待できない企業を意味し、事業を引き継ぐ人にとっては魅力的ではありません。

事業承継を実現するための職場改善

事業承継やM&Aを成功させるには、人事から着手する

大橋高広

事業承継がうまくいかないと感じたら、まずは人事の改善から始めましょう。

事業承継やM&Aでは、まず人事の問題を解決することから始めましょう。

財務基盤がしっかりしていない中小企業の経営者の方から「まずは財務基盤ではないのか?」というご意見も頂くことがありますが、会社の成長はヒトの成長なくしてはできません。

財務基盤を盤石にするためには、働く従業員の生産性や技術の向上が欠かせません。

では、事業承継で悩む中小企業が生産性や技術の向上を目指すにはどうすれば良いか。

つまり、以下の方法を選択しなければなりません。

事業承継がしたくなる中小企業の人事改革
  • 管理職の人材育成力の向上(管理職研修)
  • 人材育成を人事評価に入れた人事制度の改訂(熟練社員)
  • 社長の属人性を除いだ社内体制の強化(働きやすさといった職場改善など)
大橋高広

このように人事改革をおこなうことで、従来持ち得る中小企業の高い技術力をさらに高め、財務状況の強化、そして”ヒト”という経営資源の価値向上につながります。

大橋高広の人事コンサルティングについて

大橋高広の人事コンサルティングは、中小企業を対象とした管理職育成人事評価制度の立案に強みを持ちます。

「人事を蔑ろにする企業は必ず衰退する」

多くの会社の問題は人事にまつわるものが多いと言えます。

事業承継だけでなく、中小企業が持続可能な成長を遂げ、事業承継やM&Aを成功させるためには、人事による職場改善が必要です。

事業承継や会社売却でお悩みの方はぜひお気軽にお問い合わせください。

    幹部人材の育成・採用でお困りの方はお気軽にお問い合わせください

    中小企業の経営を安定させるには、戦略と実務能力を兼ね備えたナンバー2の存在が欠かせません。

    大橋高広は人事コンサルティング業務を通して、数多くの中小企業の経営者や現場スタッフとの面談を繰り返してわかってきた、幹部人材の育成や採用を成功させるメソッドを提供しています。

    「会社の経営を安定させたい」「現場スタッフが生き生きと働ける職場環境を作りたい」「ナンバー2をはじめとした幹部社員を育てたい」とお考えの経営者はぜひお気軽にお問い合わせください。

      人事で損する『企業』と『人』をなくしたい

      会社にとって、莫大な利益流出につながる『採用費』。実は職場が良くなれば、採用には困りません。職場の良さを発信するだけで人は集まります。リファーラル採用(口コミ)もできます。さらにスタッフも定着します。だからこそ、いつまでも利益を採用費に垂れ流すのではなく、人事に取り組んで、良い会社をつくって欲しい。そう考えています。

      スタッフにとって、キャリアアップは重要な課題です。そのために、さらに『実務スキル』をきわめていこうとする方が多いです。しかし、一定レベルまで昇格すると頭打ちします。それは、部下を育てたり、チームの成果を上げるという『マネジメントスキル』が不足しているからです。皆様にはぜひマネジメントスキルを身につけていただき、さらに活躍の幅が広げて欲しい。そう願っています。

      この機会に、ぜひ人事テンプレート12選をダウンロードしてください。そのことが、皆様にとって『人事』や『マネジメント』について考えるキッカケとなりましたら嬉しいです。