ゆるブラック企業の正体とは?中小企業が陥るエセホワイト企業の末路

ゆるブラック企業の正体とは?中小企業が陥るエセホワイト企業の末路
大橋高広

人手不足、離職が止まらない中、企業の"ゆるブラック企業化"が話題になっています。

若い人材の離職が止まりません。職場改善もして、残業もさせていません。

若くて優秀な人材ほど緩すぎる職場環境において、危機感を抱いています。「このままでは自分は世の中に通用する人材になれない」と考え、離職を決意します

大橋は、2020年の時点で、形だけのホワイト企業への警鐘を鳴らした書籍「バカはブラック企業に入りなさい」で「優秀な若い人(成長したいバカ)ほど(仕事はキツいけど社員を育て一人前にしてくれる体制がある)グッドブラック企業に入りなさい」とお伝えしています。

書籍「バカはブラック企業に入りなさい」は、若い人材向けですが、本コラムでは、経営者や人事担当者向けの内容をご紹介します。

人が辞めない、本当のホワイト企業を作るためには

大橋高広

ホワイト企業というと給料が高く、福利厚生も充実、残業もほとんどないという企業が多いと多います。

最近、ホワイト企業を目指す企業が取り組んでいるのが、社員の待遇改善です。

しかし、社員への待遇改善だけが「従業員にとって居心地が良いだけの環境にする」ことではありません。

特にハラスメントに極端に怯えるあまり、適切な指導ができない中間管理職が増えています。

もちろん、昭和時代のように怒号が飛び交う、平成時代のような「詰め部屋」といった指導は論外です。

本当に求められる理想の職場環境とは、「働きやすさ」に加えて、「スキルアップやキャリア形成ができる」「自分の市場価値を高めたい」「適切な人事評価が実施してほしい」という従業員の希望を実現できる職場環境です。

そのため、企業に求められているのは、社員の待遇改善ではなく、職場改善です。

その実現の鍵となるのが、管理職の存在です。

部下を育成できる管理職の存在は、必然的に自ら成長する人材を生み出します。

管理職育成に予算を割かなければ、給料を上げても、優しく指導しても優秀な人材ほど離職していきます。

若手人材の離職や管理職育成でお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。

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Z世代の考えに迎合するだけの企業は未来がない

大橋高広

働き方改革が進むと同時に、Z世代と言われる若い人材の多くには「給料が高いから頑張って働く」という価値観は通用しなくなっています。

Z世代が考える働き方では以下の3つです。

Z世代が考える働き方について
  1. ライフステージにあった働き方をしたい
  2. さまざまな会社や業界で経験を積む、スキルアップしたい
  3. 必要以上に労働に時間をかけず、プライベートを大切にしたい

しかし、こうした考え方にそのまま迎合し、人事評価制度や職場環境を変えることは危険です。

Z世代の働き方の考え方において、2の考え方を尊重してあげる必要があります。

2が実現できる職場環境や人事制度を構築するだけでなく、3への対応を忘れてはいけません。

大橋高広

しかし、多くの管理職は3への対応を間違っています。

多くの管理職は「残業をさせない」「できるところまでやらせて、後は自分がやる」ということを繰り返して、自分の業務を増やしがちです。

このような職場は会社にとって、かなりまずい状況です。

表面上だけを見れば、新入社員もイキイキと働いていて、人件費も削減できていますが、確実に管理職は疲弊しています

表面上、よくなっているように見えるのは、管理職は原則残業代が出ず、業務遂行能力が高いためです。

この状況を放置をするとどうなるか?

優秀な管理職が退職していき、芋づる式に新入社員やエース社員が辞めていきます。

その後に残った社員は「指示待ち社員」「無難な仕事しか続けない社員」「ぶら下がり社員」だけとなり、会社や事業の存続が難しくなってしまいます。

伝えるべき社員の見極めが大切

Z世代の考え方3の「必要以上に労働に時間をかけず、プライベートを大切にしたい」には、まず、「稼ぎたいのか」「稼ぎたくないのか」の意思を見極めましょう。

見極めた上で、以下の対応がおすすめです。

考え方3への対応方法
  • 稼ぎたい人材:給料を上げるためには、時にはハードワークをする必要があると伝える
  • 稼ぎたくない人材:そのまま、全体の業務に支障がない仕事をおこなってもらう

こうした対応をおこなう上でも人事評価制度の見直しが重要となります。

Z世代はなぜ辞める?中小企業の管理職が知っておくべき認識

賃上げの裏に潜む闇に優秀な若手人材は気づいている

大橋高広

人手不足が進む中、大手企業を中心に賃上げが盛んとなっていますが、その中でも若手人材の初任給アップが話題になっています。

一方で、中間管理職である30代後半から40代の賃金はほとんど上がっていません。

むしろ、賞与を減らす人事評価制度に移行しており、実質、給料が上がっていない傾向が見られます。

1つは月給に含まれない賞与や退職金などを削減していること、もう1つは賃金制度の変更だ。

月給だけを見れば大幅なベースアップになるが、実はバンダイは月給を増やすがボーナスもそれに応じて増やすとは言っていない。

初任給の高さに目を奪われてはいけない。大企業で相次ぐ「初任給アップ」の落とし穴

もう1つの賃金制度の変更とは、従来の勤続年数や能力・経験によって昇給していく仕組みを廃止し、職務や役割で給与を決めることだ。

同じ職務に留まっている限り、25歳と40歳の給与は変わらない。給与を上げようと思えば、がんばって職務レベルを上げるか、給与の高い職務にスイッチするしかない。

初任給の高さに目を奪われてはいけない。大企業で相次ぐ「初任給アップ」の落とし穴

たとえば役割給を導入した大手精密機器メーカーでは導入3年目に管理職層300人が昇格する一方、150人が降格。40歳の管理職層で約450万円程度の給与格差が発生している。

ちなみに今年初任給を1万円引き上げた日立製作所やNECはジョブ型雇用を標榜する企業であり、東芝も役割や職務で賃金を決める「役割等級制度」を2020年4月から導入している。

初任給の高さに目を奪われてはいけない。大企業で相次ぐ「初任給アップ」の落とし穴

こうした企業の人事評価制度や実際の現場を見ていて、表面だけの職場環境の改善や昇給をしたとしても「自分がゆるい環境にいることで、将来、使い物にならない人材になる」と若くて優秀な人材ほど強く思っています。

本当のホワイト企業は管理職育成に手を抜かない

大橋高広

"ゆるブラック企業"の定義を確認しておきましょう。

ゆるブラック企業とは

働きやすい環境づくりを志向する一方、「仕事にやりがいがない」「スキルアップできる環境ではない」と、ある種の物足りなさが指摘されている企業

今は、長時間労働やハラスメントなどへの法令違反が明確になっており、法令遵守する企業が増えていることは喜ばしいことです。

その一方で、新入社員の育成を担う管理職(リーダー職)が過剰に萎縮してしまい、適切な人材育成ができず、やる気のある優秀な若手社員が「仕事にやりがいがない」「スキルアップできる環境ではない」と感じてしまう状況を作ってしまいます。

法令遵守はもちろんするが、伝えるべきことは伝え、人材育成能力を持つ管理職の育成に力を入れる企業こそ、企業や従業員にとって、本当に「働きやすい職場環境」を実現できる企業といえます。

大橋高広の管理職育成や人事評価制度について

大橋高広は、中小企業の人手不足の解消(人材定着)や社員が自ら成長する組織にするための管理職育成や人事評価制度の立案を得意としております。

職場の問題は”社長の目”には見えていないことが多いといえます。

大橋高広は「現場実践」をコンセプトにした独自の管理職育成や人事評価制度の開発に強みを持っています。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

    幹部人材の育成・採用でお困りの方はお気軽にお問い合わせください

    中小企業の経営を安定させるには、戦略と実務能力を兼ね備えたナンバー2の存在が欠かせません。

    大橋高広は人事コンサルティング業務を通して、数多くの中小企業の経営者や現場スタッフとの面談を繰り返してわかってきた、幹部人材の育成や採用を成功させるメソッドを提供しています。

    「会社の経営を安定させたい」「現場スタッフが生き生きと働ける職場環境を作りたい」「ナンバー2をはじめとした幹部社員を育てたい」とお考えの経営者はぜひお気軽にお問い合わせください。

      人事で損する『企業』と『人』をなくしたい

      会社にとって、莫大な利益流出につながる『採用費』。実は職場が良くなれば、採用には困りません。職場の良さを発信するだけで人は集まります。リファーラル採用(口コミ)もできます。さらにスタッフも定着します。だからこそ、いつまでも利益を採用費に垂れ流すのではなく、人事に取り組んで、良い会社をつくって欲しい。そう考えています。

      スタッフにとって、キャリアアップは重要な課題です。そのために、さらに『実務スキル』をきわめていこうとする方が多いです。しかし、一定レベルまで昇格すると頭打ちします。それは、部下を育てたり、チームの成果を上げるという『マネジメントスキル』が不足しているからです。皆様にはぜひマネジメントスキルを身につけていただき、さらに活躍の幅が広げて欲しい。そう願っています。

      この機会に、ぜひ人事テンプレート12選をダウンロードしてください。そのことが、皆様にとって『人事』や『マネジメント』について考えるキッカケとなりましたら嬉しいです。