少子高齢化や長時間労働の規制が加わり、特に地方の中小企業には人が集まらなくなっています。
一方で、地方の中小企業の中には、人手不足を解消し、順調に事業を成長させている企業も存在します。
本記事では、地方の中小企業がやりがちな人手不足解消方法から、根本原因を改善する方法を解説します。
「地方だから人が集まらない」は間違い
多くの地方の中小企業経営者は「人が集まらないのは、地方だからだ」とおっしゃる方がいらっしゃいます。
地方に人材が集まらない理由のひとつに「都市部に比べて平均賃金が低い」という要因があります。
では、仮に大都市から離れた地方の中小企業が「今の年収に+30万円にするから、うちに来て欲しい」と若い世代に言えば、果たして来てくれるのでしょうか。
もっとわかりやすくいうと、「月の給料を2万5千円(年収+30万円)アップするから、都市から地方の中小企業に転職してほしい」と言ったら、あなたの会社に就職してくれるでしょうか。
勘の良い読者の方は既にお察しされたかと思いますが、「給料をあげられば、人が集まる」という考え自体が間違っていると言えます。
地方に限らず、都市部にある企業でもいくら時給や月給を上げても求人に苦労している中小企業はたくさんあります。
年収100万以上アップを目指す優秀な人材ほど都市部で転職します。つまり、地方の中小企業が優秀な人材を獲得するには、少なくとも募集したい人材の年収に200〜300万は上積みしないと来てくれないことは容易に想像できます。
給与待遇や福利厚生では大企業に負ける
給与面や福利厚生を高めれば、都心部の人材は地方に来てもらうことは、有効な手段ではありますが、そこまで財務体力がある地方の中小企業は多くないはずです。
また、可能な限り、給与や福利厚生を改善しても求人媒体では、必ず大企業の支店に負けてしまいます。
確かに給与や福利厚生の改善は助成金や補助金で改善することは可能です。しかし、その前に採用した人材が定着してくれる職場でなければ、意味がありません。
「人は集めるには、SNSをやればいい」は間違い
近年、インスタグラムやTikTokなどSNSを使った発信を強化している企業が増えています。
特に動画を中心としたSNSでは、会社の雰囲気や実際に働いている人を映像で確認できるため、業界によっては求人に高い効果があります。
そのため、地方の中小企業の社長や人事担当者の中には、「SNSをやれば、人材が集まってくる」と感じていらっしゃる方も少なくありません。
しかし、SNSは求人としては機能しますが、結局、定着しなければ全く意味がありません。
これはSNSだけでなく、ハローワークや求人サイトでも同じことが言えます。
つまり、SNSや求人媒体を活用する前に、まずは従業員が定着する職場環境を構築または改善することが大切です。
地方の中小企業こそ会社の本質的な魅力を伝えましょう
給与や福利厚生の待遇改善は、大企業に比べて、どうしても中小企業の取り組みは見劣りしてしまいます。
そのため、地方の中小企業こそ会社の将来性や社長の人間性、会社の想い・理念、事業サービスの内容、部下を育成する上司など会社の本質的な魅力を押し出すことが大切です。
日本の中小企業は世界に誇れる高い技術力を持っています。
また、そこで働く人材も高い技術を有しており、日本製品は世界からも信頼が厚く、輸出強国としての地位も高いです。
世界の製造業界や最新技術を支え続けている日本の中小企業こそ、会社の本質的な魅力を伝えることで、大企業にも負けない採用力を発揮できます。
中小企業こそ職場改善が大切な理由
しかし、会社の本質的な魅力を伝える前にやるべきことがあります。
それが職場改善です。
「離職率が高い」「人が採用できない」「優秀な人材から辞めていく」
こうした人事に関する悩みの多くは職場環境に原因があります。
特に「うちは上司と部下を見ていてもコミュニケーションが取れている」と思われている社長の会社の職場ほど急に人が辞めていきます。
この原因には、「会社発信の場当たり改善」があると言えます。
例えば、会議の場でのブレーンストーミングやホワイトボードや付箋など書き出して、上司と部下が一緒になって、改善方法を探るという方法は、典型的な「会社発信の場当たり改善」と言えます。
上司や管理職系部署の人が見ている場で、社員が「本当の問題」を言い出すはずがありません。
こうしたことに気づかず、積極的に発言の機会を設けることがかえって、「会議で発言しないとモチベーションが低いと評価すること」が加速し、言いたいことも言えずに社員の不満が溜まっていくのみとなります。
職場改善は管理職育成が鍵
会社の本質的な魅力を支えているのは、間違いなく、従業員です。
その従業員がやりがいを感じて働いている職場は魅力的に感じます。
そのため、給与や福利厚生の待遇改善やSNS活用による求人の前に、まずは職場環境を改善することが必要です。
そして、職場環境を改善するには、職場の中心的な存在である管理職や現場リーダーの育成が最も大切となります。
まずは管理職自身が会社の成長に欠かせない存在ということを認識してもらわなければなりません。
そのためにも管理職としての意識改革を行いましょう。
特に以下の意識を持っている管理職は適切なマネジメントや人材育成ができない可能性が高いと言えます。
- 成功者としてのプライドがある
- 自分のやり方は間違っていないと考えている
- 育成に対して苦手意識がある
- 虚勢を張ってしまう
- 部下よりも上司が必ず上であると考える
また、職場の改善につながる管理職は以下の3つのスキルが必要です。
- テクニカルスキル…業務遂行に必要な業務遂行能力や業務知識
- ヒューマンスキル…コミュニケーションや交渉、調整などの対人関係能力
- コンセプチュアルスキル…情報を概念化し本質をつかむつかむ先見性や洞察力など概念化能力
大橋高広の管理職研修について
大橋高広は提供する、管理職研修・現場リーダー研修は、管理職に求められる意識改革やスキルの習得を促し、根本的な原因を潰した上での職場改善や従業員が定着する会社を作ることが可能です。
近年の管理職や現場リーダーは、管理職になる前は個人での実績を上げる優秀なプレイヤーの方が多いと言えます。
しかし、多くの管理職はマネジメントスキルを満足に習得する前に管理職に登用された方が多く、こうした管理職が多い職場は必ず機能不全を起こします。
大橋高広の管理職研修、現場リーダー研修は、役職者研修や部下の育成方法、部下との面談方法(1on1)、評価者研修(人事評価・目標管理)を通じて、そもそものプレイヤー時代に得ることがなかったマネジメントスキルの習得に特化しております。
採用難や離職率が高い、地方の中小企業の経営者様はぜひお気軽にご相談ください。
\1on1面談のやり方が掲載された全13ページの研修資料付/
まとめ
地方の中小企業だけでなく、日本全国の中小企業は、間違いなく、高い技術と魅力を持っています。
本来、多くの中小企業は会社の本質的な魅力を持っています。
「流行っているから」という理由で、SNSや求人媒体の活用や給与・福利厚生の充実に踏み切っても人材獲得はおろか、人材の定着すら難しくなります。
管理職育成を通じた職場の改善を行なって初めて、SNSや求人媒体、待遇の改善が活きてきます。
そのことをまず強く認識しましょう。
働き方改革や多様な働き方の浸透、価値観の多様化により、旧態依然の方法では人は集まらなくなっています。