コロナ禍や働く人の世代交代によって、人材採用に分野でも大きく変化しています。
今後、若年層の減少によって、売り手市場が続く人材採用のあり方や管理職育成も考えなければなりません。
本記事では、「人材獲得」から「人材定着」へシフトしている現状とその理由、対策をご紹介します。
本記事でご紹介する「人材定着」に必要不可欠な人事評価シート(大橋高広公式)を無料ダウンロードいただけます。
「成果を出したら、給料を上げるよ」は響かない
平成時代、特にバブル崩壊以降、日本社会においても成果主義を取り入れた企業が増えましたが、欧米諸国が実践している成果主義とは程遠いものであり、うまく機能しなかった経緯があります。
一方で、一部の企業や業界では成果主義による人事評価が機能し、売上・利益率が拡大しました。
しかし、それはあくまで人材の流動性が多い業界や業種に限られた話であり、今後、人口減少や売り手市場の労働環境では維持できないことが明白です。
また、Z世代を中心に働き盛りである、20代・30代は業績を上げたい企業の決まり文句であった「成果を出したら、給料を上げるよ」という言葉は全く響かなくなっています。
▼今までの従業員が定着する決まり文句▼
成果を出したら、年収1000万円出すよ
成果を出して、年収1000万円を勝ち取ります!
▼現代の上司と従業員のやりとり▼
成果を出したら、年収1000万円出すよ
年収500万円でいいので、9時〜17時で帰ります
責任が増えて忙しくなるのは嫌です
今の仕事を精一杯頑張っているので、給料を上げてください(出なければ、転職します)
あなたが経営者、管理職だったら、こういった社員の返事に対して、どういった職場環境・待遇の改善を行いますか?
定量評価のみの人事評価では、優秀な人材だけでなく、真面目でコツコツと頑張る人材も会社を離れていきます。
企業がやるべき労働環境の維持と待遇改善
働き方の多様化が進み、働き手である従業員の価値観も多様化する中で、(成果を前提として)報酬を高めたら、優秀な人材が集まり、定着するという時代は既に終焉していると言っても過言ではありません。
また、優秀な人材ほど高い報酬が見込める企業へ簡単に転職していく時代です。
そのため、中小企業の経営者は従業員に対して、現状の労働環境を維持したまま、待遇の改善を行うという難しい舵取りが求められています。
成果主義の徹底など売上・利益が向上する組織体制に変えるのではなく、今の業務内容を変えずに適切な人事評価ができるようにする
職種や担当業務に沿った人事評価を行い、賃金アップや福利厚生の拡充を図っていく
しかし、ない袖は振れません。
そのため、企業は労働環境の維持と待遇改善と同時にDXや業務効率化を前提とした企業としてのビジネススキーム(商品開発、マーケティング、営業などの事業目的を達成するために、より具体的な計画立案や枠組みの設計)を見直さなければなりません。
人材定着は定性評価が鍵となる
「仕事は今のままでいいです、でも真面目に頑張っているので給料は上げてください」
中小企業の経営者であれば、「こうした人材はけしからん」と思われる方も少なくありませんが、実はこうした人材の需要が高まりつつあります。
「仕事はしないのに待遇の改善を求める」「優秀な人材だが、より良い企業へと転職してしまう」、これが中小企業の人材採用における最大の悩みでもあります。
しかし、成果主義による年収アップは響かない「コツコツと真面目に仕事をしてくれる」人材は採用難の時代において、とても貴重な人材です。
こうした人材の意見を「『戯言』と片づけ、待遇を改善しないまま退職されてしまうか」、「最適な人事評価を実施して会社に定着してもらうか」の2択となった時、現在の経営者は後者を選びます。
そして、「真面目でコツコツと働き、そこそこの年収と賃金の上昇で会社に定着してくれる人材」を大切にするには、定性評価が鍵となります。
定量評価:データを数値化して客観的に評価を行う人事評価
定性評価:明確な実績や成果など数字で計測できない評価を行う人事評価
人材が定着するマルチアングルアセスメント(360度評価)
定量評価が主流である成果主義が合わない人材に対して、最適な定性評価がいくつかあります。
定性評価の良いところは、評価者である上司も同時に評価される点です。人材が定着する効果的な定性評価をご紹介します。
マルチアングルアセスメント(多面評価:360度評価)
マルチアングルアセスメント(多面評価)とは、別名360度評価とも呼ばれており、上司だけでなく、同僚や部下、部門間、取引先など立場の異なるさまざまな人から多角的に評価を受ける制度です。
360度評価は上司も被評価者となります。
そのため、本来、評価者である上司もしっかりとしたマネジメントをしなければ、自分自身の評価に響きます。
部下やチームメンバーからすると公正公平な人事評価となり、さらに被評価者も納得感の高い人事評価となります。
人事評価において、頑張っている人ほど「自己評価が低い」、頑張っていない人ほど「自己評価が高い」という傾向があります。後者の納得感を得る上でも360度評価は効果的な人事評価となります。
多面評価を実施するには、社員同士の談合を防ぐ上でも運用ルールを定める必要があります。また、運用が煩雑化しやすいため、事前に評価方法などを決めておきましょう。
人事コンサルタントである大橋高広は、依頼企業の課題や組織風土、職場環境に応じた最適な多面評価(360度評価)の実施が可能です。多面評価による最適な人事評価をご検討の方はぜひお問い合わせください。
人材定着の効果を高める人事評価のポイント
人材定着の効果を高めるためには、適切な人事評価を実施しなければなりません。
その鍵となるのが管理職である上司の存在です。
プレイングマネージャーが生き残れた時代は既に終焉しており、最適な人事評価と人材育成ができる管理職の育成が必要不可欠です。
コメントとポイントをセットで評価する
定量評価は営業成績(顧客アプローチ数や商談数、成約数、成約率など)をデータ化・可視化することで可能です。
一方で、定性評価はコメントとポイントをセットで評価することが大切です。
ポイント評価は一見可視化されている評価に思われがちですが、上司の主観(好き嫌い)が反映されやすいため、被評価者にとって、不満の原因となります。
そのため、ポイントとセットで「なぜその評価となったのか」というコメントを残さなければなりません。
コメントを残すためには、管理職である上司は部下の具体的な行動を観察し、記録しておくことが大切です。
多くの中間管理職は普段の忙しさから部下の行動を記録することを忘れがちです。
1on1面談や人事評価面談においても部下が評価の納得感を得るためには、普段の具体的な行動を明示できなければなりません。
評価者研修による上司の人事評価スキルを底上げする
評価者である管理職の育成も必要不可欠です。
つまり、上司の評価スキルを底上げしなければなりません。
そのため、定性評価を含んだ人事評価をするためには、評価者である管理職に評価者研修を実施する必要があります。
特に定量評価で昇進した管理職ほど部下やチームメンバーの定性評価スキルが低いと言えます。
定量評価で抜群の成果を出す人材は、いずれ独立や報酬が高い他社へと転職していきます。
真面目でコツコツと頑張り、会社に定着してくれる人材を大切にする上でも、評価スキルが低い管理職に対する人事評価研修が必要不可欠です。
大橋高広が提供する、管理職・現場リーダー研修では、役職者研修(主任・係長・課長・部長など)、部下の育成方法、部下との面談方法(1on1)、評価者研修(人事評価・目標管理)などを提供しております。
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1200名以上のクライアントスタッフと面談し、ノウハウを詰め込んだ大橋高広式人事面談シートは、人材定着に効果があります。
単に査定して賃金を決めるだけ人事評価制度では、評価に一喜一憂するだけの制度になってしまいがちです。
大橋高広の人事評価シートは評価基準に対する「点数」と「評価理由」を具体的に記述し、スタッフの成長を促すことに軸を置いた評価シートです。
被評価者(評価される部下)はもちろん、評価者(評価する上司)の成長も期待できます。
まとめ
慢性的な人手不足は中小企業にとって、死活問題です。
しかし、どれだけ高額な報酬を積んだとしても優秀な人材に選んでもらえない時代に突入しています。
また、優秀な人材ほど独立を目指し、より良い待遇の職場環境に移動します。
採用難に乗り越えるためには、「真面目でコツコツと頑張る」人材を会社に定着してもらうかまで経営者は考えなくてはなりません。
今までの成果主義・定量評価のみでの人事評価だけでは人材定着は実現できません。
経営者は持続可能なビジネスキームの創出と職場環境の維持、そして待遇の改善という難しい人事施策を実施しなければなりません。
まずは中間管理職の育成の一環でもあり、人材定着に効果が高い定性評価を盛り込んだ人事評価を実施しみてはいかがでしょうか。
「人材獲得競争」から「人材定着」へ