管理職に必要なコミュニケーション力とは?管理職研修で正しいヒューマンスキルを身につけましょう

管理職に必要なコミュニケーション力とは?管理職研修で正しいヒューマンスキルを身につけましょう
大橋高広

社内コミュニケーションは、組織の生産性向上にかかわり、管理職が部下との信頼関係を築くためにも、コミュニケーション力は重要です。

しかし、日々の業務に追われ、社内コミュニケーションが適切に取れている企業は多くありません。

コミュニケーション不足は、生産性の低下だけでなく、従業員(部下)のモチベーション低下などにもつながるため、管理職は正しいコミュニケーションスキルを身につける必要があります。

管理職に必要なコミュニケーション力とは

若手社員の成長には、管理職のあり方が重要であり、「コミュニケーション力」も必要なスキルのひとつです。

しかし、管理職を育成するための教育や研修に力を入れている企業は少なく働き方の多様化やコロナ渦によるリモートワークの増加などにより、ますます研修の機会が減ると同時に、社内コミュニケーションの機会も減っています。

そのような厳しい労働環境において、管理職が身につけるべきコミュニケーション力について解説します。

職場の問題を知るためには「コミュニケーション」が必要

企業の多くは、職場改善をおこなうために、「ツール」や「ノウハウ」を積極的に導入しようとします。

しかし、「同調圧力」がはびこる日本企業において、社内での職場改善には限界があり、職場改善を積極的におこなっているようにみえていても、本質的には改善されていないことが現状です。

職場改善をおこなう(職場の問題を知る)ために、本当に必要なことは「管理職を起点とした社内コミュニケーション」であり、「管理職が職場内の問題を聞き出し、改善をサポートする」、これこそが職場改善に向けた最短の道です。

中小企業の多くの管理職はプレイングマネージャー

中小企業の管理職の多くは、プレイングマネージャーであり、テクニカルスキル(業務遂行能力や業務知識)はもっていても、ヒューマンスキル(コミュニケーションや交渉、調整などの対人関係能力)やコンセプチュアルスキル(洞察力など概念化能力)を十分にもっていません。

3つのスキルにおいて、テクニカルスキルの重要度は役職があがるにつれて低下し、コンセプチュアルスキルの重要度があがるとされているため、「コンセプチュアルスキル」を重視した経営者や管理職向けの研修や講座が充実しています。

しかし、管理職の中核を成すスキルである「ヒューマンスキル」については、何ら対策されていない、もしくは、対策されていたとしても「1日研修」によるその場しのぎの対策で、結果的には何も改善されていないことが現状となっています。

働き方改革やコロナ渦により、以前にも増してさらに管理職研修の実施などが難しい状況となったいま、管理職にヒューマンスキルが必要であることは理解していても、理解しているだけで、何も改善できていないということに大きな問題があります。

管理職研修で「個人の強化」に必要なマネジメントスキルを身につけましょう。

コミュニケーションの勘違い

社内コミュニケーションがうまく機能していない企業では「コミュニケーションの勘違い」が横行しています。

特に、比較的従業員が少ない中小企業では、社員同士の距離が近いため、報連相や情報共有(コミュニケーション)がうまく取れていると思い込みがちです。

また、「コミュニケーションが積極的に取れている」と自負しているような企業にかぎって、実際は、「ただ上司が一方的に声をかけているだけ」で、会話にさえなっていないような状態となっています。

さらに、象徴的であるのが「面談によるコミュニケーションの勘違い」です。

企業の多くで、「1on1ミーティング」を取り入れた、上司と部下による面談(対話)を導入されていますが、蓋を開けてみると、

上司:「最近どう?」

部下:「若干困難であることもありますが、頑張ります」

上司:「頑張ってください」

という、形骸化したミーティングが繰り返されています。

このように、「手段やノウハウだけを取り入れて、有効活用できていない」にもかかわらず、「コミュニケーションが取れているから大丈夫」と、勘違いしている企業は多く、「中途半端にやっている」ほど、たちが悪いといえるでしょう。

コミュニケーション力の欠乏はチームの機能不全につながる

管理職のコミュニケーション力が欠乏していると、チームの機能不全につながり、組織としての成果や結果が出ません。

チームが機能不全に陥る背景には、上司と部下のコミュニケーションが取れていない、つまり、「上司と部下の信頼関係がない」ことに起因します。

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『人事評価を改善する』技術とは?上司と部下の信頼関係を築くための方法

部下との信頼関係を築くためには

上司が部下との信頼関係を築くためには、社内コミュニケーションが重要です。

管理職は、部下との信頼関係構築に必要なコミュニケーション力を身につけましょう。

管理職には聞き出す技術が必要

部下との信頼関係を構築するために管理職に必要なスキルのひとつが「聞き出す力」です。

「聞き出す力」は主に、「部下との面談」の際に発揮されるスキルですが、部下とのコミュニケーションを積極的に図ろうとして、「ただ面談を実施すればいい」と、適当に面談の機会を増やしても、正しく実施されていなければ時間や労力の無駄となり、かえって逆効果です。

そのため、面談をおこなう際は、以下のような方法を取り入れることで、効果的な面談をおこなえます。

上司沈黙法

管理職の中には、面談の際、一方的に自分の話ばかりしたり、部下の発言を遮り、意見を聞こうとしなかったりする上司がいます。

しかし面談の際の、管理職の役割”黙って部下の話を聞くこと”です。

せっかく面談の機会を設けても、部下が発言できなければ意味がありません。

できる上司ほど、部下の話の結論がみえてしまうため、思わず口を挟みたくなってしまいがちですが、そのようにすぐに結論を伝えられると、勇気を出して悩みを相談しようとした部下は、一方的に結論を押しつけられたような気になり、話すことをやめてしまいます。

上司はとにかく聞き役に徹するようにしましょう。

面談時間無制限法

部下の本音を聞き出すときは、あえて時間制限を設けない方法が効果的です。

働き方改革により、効率化が求められる中で、コミュニケーションにも効率化が求められ、「会議や面談は決められた時間内に一定の結論を出すもの」として共有されていますが、効率化を追い求めすぎるあまり、部下の本音をしっかりと聞き出せていないというデメリットが生じていることも事実です。

上司は、十分な面談時間をとって、部下が自分で問題を整理するのを待ってあげることが大切であり、面談には、「無言の時間」も重要です。

生産性を低下させる「職場の問題」は上司と部下、同僚同士のコミュニケーション不全で起きる。本書は、その解決のための相手から「聞き出し」「共有し」「改善する」3ステップの解決法を解説!2021年5月27日上梓

人事評価や目標管理も重要

部下のモチベーションを保ち、信頼関係を築くためには、納得できる評価方法による人事評価を実施することや、目標管理を設定することも重要です。

上司と部下の信頼関係と、人事評価は密接にかかわっており、「評価点が高ければ、部下は納得するというものではなく、信頼関係が築けるわけではない」ことを理解しなければなりません。

上司が、部下の働きぶりを日頃から観察し、具体性をもった根拠による評価であれば、部下は納得し、上司に対しても信頼を抱きますが、たとえ、評価点が満点でも「特に具体的な理由はないけれど、とりあえず満点だから文句はないでしょ?」というような評価では、部下は納得できるはずもなく、信頼関係も築けません。

そのため、上司は普段から部下の働きぶりを正確に把握したうえで評価し、信頼関係を構築する必要があります。

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管理職に必要なコミュニケーション力の身につけ方

管理職に必要なコミュニケーション力は、日々の業務で自然に身につけられるものではありません。

また、働き方改革やコロナ渦により、管理職に必要な教育や研修は、以前にも増して実施しづらくなっており、企業は管理職を育てる余裕がありません。

そのため、管理職研修を実施し、「管理職に必要なコミュニケーション」について正しく理解し、ヒューマンスキルを向上させる必要があります。

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管理職のあり方

管理職研修で大切なことは、「管理職のあり方」を再認識させるための「意識改革・役割認識」を実施することです。

意識改革では、これまでの固定概念や仕事観、成功体験やプライドを一度リセットし、役割認識では、管理職としてやるべきことを再度認識させる必要があります。

部下の育成・面談

管理職の役割において、最も重要とされることは、「部下の育成」です。

部下を育てるスキルを十分に身につけないまま管理職に登用された多くの人は、管理職研修を通して、部下を育てるための工夫や、具体的な方法を学ぶ必要があります。

管理職に必要なマネジメントスキルは、すぐに身につけられるものではなく、知識だけもっていても意味がありません。

部下の育成を継続するためには、すぐにできる育成方法に加え、管理職が持つべき心構えと、正しい方法による実践が重要となります。

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報連相や情報共有

組織の生産性向上や、上司と部下の信頼関係を築くうえで、報連相や情報共有による社内コミュニケーションは大切です。

しかし、誤った認識による社内コミュニケーションのままでは、報連相や情報共有のもつ本来の機能を果たしません。

社内コミュニケーションにおける誤った認識に気づき、改善することが大切です。

まとめ

企業の成長には、若手社員の成長が必要不可欠ですが、若手社員を育てるためには、「管理職のあり方」が重要です。

多くの企業では、若手社員の教育に力を入れていますが、管理職の教育には力を入れられていないことが現状となっており、管理職に必要なスキルは、日々の業務で身につけることが難しく、さらに、働き方改革の促進やコロナ渦において、ますます難しくなっています。

そのため、管理職に必要なスキルは、「管理職研修」によって効率的に身につける必要があり、ただ知識やノウハウを身につけて終わるような研修ではなく、実践で活かせるスキルを学ぶことが重要です。

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    ABOUT US
    大橋 高広
    株式会社NCコンサルティング 代表取締役社長|人事コンサルタント・研修講師|東洋経済オンライン記事投稿・日本経済新聞での書籍紹介│新刊『リーダーシップがなくてもできる職場の問題30の解決法』(日本実業出版社)Amazonランキング「マネジメント・人材管理」6位│その他著書『バカはブラック企業に入りなさい』(徳間書店)、『人事部のつくり方』(主婦の友社)│人事制度の設計と運用・管理職研修・職場改善研修・新卒研修・若手社員研修など「人事評価制度の設計と運営」を軸に、「組織文化形成・管理職育成・職場改善」など人事全般に関するサポートを提供