その中でもAIを活用した採用が進化しています。
大手企業が取り入れているのはなぜでしょうか。
また、人事部はコストカットのためにAIに頼るほうがいいのでしょうか。
今回はAI面接は必要なのか、AIを導入することで人事部の役割はどうなるのかを考えていきたいと思います。
今話題のAI選考・面接とは
AI選考という言葉はご存知ですか。
コスト削減できるからいい、今話題だから、と考えている方もいますが、そもそもAIってどのようなものかご存知でしょうか。
AI(Artificial Intelligence)とは、コンピューターで人間の知的能力(問題解決能力や推論力、判断力)を再現する技術です。
問題解決をするために、あらゆるデータを処理することで判断をすることが可能になりました。
そのため、AIをうまく活用するためには処理速度だけでなく、データをいかに集めるかも重要になります。
その中でも話題になっているAI選考とは、AIを活用した選考のことです。
大手企業の採用・面接で幅広く使われています。
実際、採用に関して、膨大なエントリーシートや履歴書を判断するためには、限られた時間と人員を借り出して判断しないといけません。
現在では、AI選考は性格診断やエントリーシートの判断だけでなく、アプリを活用したAI面接も行われています。
AI選考・面接のメリット・デメリット
では、AI選考・面接を活用している企業も多くありますが、なぜまだ導入がなかなか進んでいないのでしょうか。
AIを活用したメリットデメリットを見ていきたいと思います。
AI選考・面接のメリット
メリットとしては「採用基準の明確化」、「人件費の削減」、「ミスの削減」、「少人数での対応が可能」、「24時間の対応が可能」が挙げられます。
採用基準の明確化
採用において、人事部側が確固たる採用基準を作成したとしても、人間ですから、面接官の主観が入ってしまうのは否めません。
優秀な人材であっても、面接官と相性が悪いとはじかれてしまう場合があります。
面談には、人事部や現場の人間が駆り出されます。
特に現場の上司であれば、能力はあっても、そりが合わない、一緒にやっていけそうにないと感じたら落とすでしょう。
その点AIは、基準を定めることで客観的に判断することが可能なのです。
人件費(コスト)の削減
一人当たり面接の時間を30分と考えても、50人面接すれば25時間取られてしまうことになります。
そうすると、特に応募の多い企業であれば、膨大な時間をとられることになります。
そのため、書類選考や1次選考時にはAI採用を活用している企業が近年増えてきています。
ミスの削減
履歴書やエントリーシートの取捨選択、メールのやりとりなどは、人間が担当するよりも、正確に精密に行うことができます。
ヒューマンエラーを防ぐにはAIが一番だと考えます。
少人数での対応が可能
AIであれば、採用担当者の面談の人数削減だけでなく、選考の半分の動力を減らせるため、少ない人数での採用活動が可能になります。
24時間の対応が可能
AI面接を導入すると24時間の対応が可能になります。
そのため、時差のある海外の人材や、他の企業と併願している新卒者、企業に在籍して時間をなかなか合わせられない転職者などの面談を可能にします。
AI選考・面接のデメリット
AI選考・面接のデメリットには「採用基準の明確化」、「根拠が説明できない」、「データの蓄積が必要」、「表面で見えない部分の判断」、「AIだけで完結は不可能」が挙げられます。
採用基準の明確化
基準が明確化されているが故に、表面上の基準しか見えず、人材の可能性をくみ取ることができない恐れがあります。
根拠が説明できない
AIは過去のデータから自動的に判断していくため、なぜこの人を不採用にしたのか、なぜ採用したのか、評価の根拠について詳細な説明がつかない場合があります。
データの蓄積が必要
ビックデータから判断することでより、角度の高い採用ができます。
そのため、長期的に採用データを集めないといけません。
AIを導入したからといって、自社にあった採用活動をはじめからうまくできるとは限らないのです。
表面で見えない部分の判断
受験者側の書面やデータだけでは見えない、熱意ややる気はAIは判断はまだできません。
熱意ややる気が時として可能性を見出す場合があります。
その可能性を排除してしまう恐れがあります。
AIだけで完結は不可能
今の段階では、AIだけで最終面接まで完結することができません。
そのため、時間の削減はできたとしても、結局、人間の手が必要になります。
AI面接を導入した企業の例
現在、AI面接を導入している大手企業は25%に上ります。
実際、メリット・デメリットにもあるように、AIではすべての履歴書に目を通すことは可能になるのですが、やはり、はじいてしまった中に「ダイヤの原石」がいるある場合があります。
はじいてしまった履歴書を人事部が再チェックしている企業も中にはあります。
そのため、今段階では、AI活用の採用段階であっても、AIの精度によって人の手が必要になっています。
それではここで、AI面接を導入した企業を少し見ていきましょう。
吉野家の場合
吉野家のアルバイト面接に、AI面接を導入しています。
株式会社タレント アンド アセスメントが開発した「シャイン・イーエックス・ライト」というサービスです。
スマホで、家に居ながらアプリの質問に答えるだけで、面談が終了します。
面接終了後は、動画や発言を分析し、レポートが採用募集の店長へ送付されます。
ペッパーが面接する時代
吉野家が利用している「シャイン」では、アプリを利用するだけでなく、ソフトバンクロボティクスの人型ロボット「Pepper(ペッパー)」に面接もさせています。
このサービスはアプリと同じ機能で、質問についてはAIで自動化しています。
字面ではあるものの、例えば、面接者が「部活動を3年間続けている」と答えれば、バイタリティーや継続性といった項目にも評価を置くことになります。
ただし、集めたデータの評価に関しては現在はAIだけでなく、人の手でも行われています。
AI導入後も人事部の育成が大切なワケ
AIを導入したから、人事部よりもSEやAI開発の部署を増やそうという企業も見受けられます。
ですが、AIを導入しても、人事部の育成には力を入れるべきだと考えられています。
今現段階では、AIを使った選考は初段階のみであり、またデータを集約してからの活用や分析は人間の手が不可欠です。
そもそも、採用活動における採用基準や評価を作るのは人事部です。
採用活動の方針を作り、それにどのようにAIを利用するかを考えるのも人事部です。
AIは手段の一つにすぎないのです。
人事部は採用・育成をトータルで考えていきます。
そのため、人事部の組織、ノウハウとして完成されている大手の組織ではAIの導入を進めていってもいいかと思いますが、中小企業で人事部組織や人事制度がまだ固まっていないところではAI導入は時期尚早ではないでしょうか。
そのような企業は、AI導入前に人事制度(評価)や採用の見直しを行うことをお勧めします。
まとめ
AI面接は確かに、大人数を選別する一つの方法としては活用できると考えます。
ですが、選別された少人数を選んだり、本質を見抜くには、やはり人の力がまだまだ大事だと考えます。
AIもITもどんなに優れていても使う人によってその能力は変わります。
人事部はAI面談をうまく活用するためにも、人事部の人材を育てること、またそれを強化することを重視していただければと思います。
近年、AIの企業活用が目覚ましい進歩を進んでいます。