そんなとき、私はいつもこう思います。
「良い人材ってどんな人?」と。
ここでいう「良い人材」が仮に、「すばらしい能力をもち、入社してすぐに成果を出すことができる優秀な人材」という意味だとすると、そもそもその優秀な人材が、この人材難の時代に中小企業の求人に応募してくるとは考えにくいといえます。
とするならば、中小企業にとって本当に必要なことはなにか?
それは「良い人材」ではなく「合う人材」の確保であり定着です。
会社にとって、人材はまさに財産であり「人財」といえます。
今回は、新卒採用の要となる面接時のポイントをお伝えしますので、採用担当者・就活生の双方にとって納得感が高く、「合う人材」を確保する採用活動へと繋がるヒントを見つけていただきたいと思います。
面接官の心得!就活生にも企業に求めるもの・知りたいことがある
しかしそんな中、新卒の採用面接において必ずと言っていいほど耳にするのが「圧迫面接」。
さらに、タブーとされている出身大学や家庭環境に関することを平気で質問する面接…。
就活生のストレス耐性を見極めるため・理不尽なことに耐えうる人材かどうかを判断するために敢えて実施する面接官がいますが、これらは全て、就活生の立場を考えた採用面接とはいえません。
面接官の心得してまず知っていただきたい事は、面接の場においては「面接官と就活生は対等な立場である」ということです。
これが面接のマナーであり、この認識をなくして適切な面接の実施・合う人材の確保は不可能です。
面接官から就活生へ一方的に質問する面接はマナー違反
先ほども話したように、採用面接では、面接官が「自己紹介」「志望動機」といった形式的な質問を次々と就活生へ投げかける、いわば面接官から就活生への一方的な質問をする図式が出来上がっています。
しかし、就活生にも知りたいことや企業に求めることがあるということを忘れてはいけません。
例えば「休日はきちんと取得できるのか」「現場の人間関係はどうなのか」「入社後の教育体制は整っていてほしい」など。
入社後、自分が働く時のイメージを明確に持ちたい就活生は多くいます。
面接会場では、就活生が知りたいことを質問しやすい環境づくりや雰囲気づくりが必要ですし、面接官には、質問したいことを就活生から引き出す力も必要です。
また、就活生へは事前に知りたいことを書き出す「面接シート」を配布しておくのも、スムーズな採用面接が実現する秘訣と言えます。
マナー違反な面接をしなくても「考え方が合う」人材は確保できる
先述したように、あえて圧迫面接を実施したり、タブーとされる質問を就活生へ投げかけたりして職場に馴染むのかを判断している面接官がいます。
しかしそのようなことをしなくても、工夫次第で「合う人材」とくに「考え方が合う人材」を確保することは可能です。
それは、就活生の過去の行動に関する質問をすることです。
なぜかというと、行動は考え方に裏打ちされたものであることが多いからです。
したがって、面接では過去に就活生が取った行動とその理由を深掘りして質問していきましょう。
たとえば「なぜ、その大学を選んだのか」「なぜ、その資格を取ろうと思ったのか」といった質問内容です。
考え方を聞く質問には制限もありますが、このように行動から探っていけば、意外と就活生の考え方が見えてきます。
またその結果、「考え方が合う」人材を確保することにもつながるのです。
合う人材を確保したければ、役員面接ではなく現場監督の声を聞く
中小企業では、社長面接や役員面接が主となっているケースが多いと思います。
そこで是非実践していただきたいのが、入社後に上司となる社員、現場監督を面接官に任命するということです。
もちろん、社長や経営幹部であれば、会社の方向性や歴史について詳しく話すことができますが、休日や残業・人間関係に関する現場のリアルな話は、現場監督でないと伝えることができません。
面接官が現場の仕事をよく知る社員であれば、就活生が知りたいこと・不安に思っていることに答えることができます。
またそのような場では、より強いマッチングが生まれることになるのです。
ただし現場監督が面接官になる場合は、質問の仕方を事前に教えることが必要ですし、採否の決定権までその人に付与することで、本人が育成にまで責任感をもって取り組むことへとつながります。
まさに現場のチカラ!優秀な人材の特徴は、現場の声を聞けばわかる
「コンピテンシー」という言葉を聞いたことがありますか?
コンピテンシーとは「社内で高い業績を残す人物に共通する行動特性」のことです。
たとえば、製造業の工場で勤務しているベテラン社員がいるとします。
この社員は、とにかく無表情で笑いません。
そして会社の飲み会にも一切参加しません。
しかし、どんな時でも必ず、非常に精度の高い商品を完成させます。
そしてそれは、同じ現場の他の社員にも見られる特性でした。
この時に考えられることは、「無表情で飲み会に一切参加しない人材」=「製造の現場においては高い技術をもち、優れた業績を残せる人材」であるということです。
もし面接で笑わない就活生がいたとしても、感じが悪い!不採用!と即決めつけるのは早いのです。
このように、就活生の行動特性を発見する目的でも、現場監督が面接官としてその場にいれば、より優秀で会社に合う人材を確保することが可能だといえます。
まとめ
中小企業にとって、会社に合う・長く続けられる人材を確保できるかどうかは、会社の将来にとっても非常に重要な案件といえます。
一度、ご自身の会社で実施している面接を振り返ってみてください。
この記事と照らし合わせてみた時、「合う人材」を確保できるヒントが見つかるのではないでしょうか。
中小企業の社長と新卒採用について話をしていると、「とにかく良い人材を確保したい」という声が挙がります。