活用できる従業員意識調査を作れていますか

活用できる従業員意識調査を作れていますか
大橋高広

従業員意識調査をしてるから、うちの会社は問題ないとよく声を聴くことがあります。本当に活用できる従業員意識調査か見直したことはありますか?

また、その調査をその後うまく活用できていますか。

調査して満足して終わっていませんでしょうか。

今回は、本当に活用できる従業員意識調査をご紹介します。

そもそも従業員意識調査ってなに?

従業員を対象にした、仕事に関しての満足度に関する調査のことです。

例えば、会社での業務内容、給与や待遇、人間関係などの質問項目から従業員の状況を把握することができる調査です。

従業員意識調査は人事部づくりの実質的なスタートです

なぜ、従業員意識調査をするのか?

目的を聞かれるとあまり答えられない方が多くいます。

本来、この調査をすることで、従業員のホンネを知れると同時に、会社の中に潜んでいる人的経営課題を浮き彫りにできるということです。

ということは正確に把握できれば、人事制度づくりもしくは改革に社内の声が反映できるということになります。

活用できる従業員意識調査のやり方とは

調査の方法によっては、本音を拾うことが難しいことがあります。

例えば、会社の批判をしたら、上司の批判をしたら、不満をいったら、自身の評価が下がったり、影響がでるのではないかと思う方は多くいます。

まずは、この調査は仕事の一つだという認識を調査側も調査される側も持つ必要があります。

効果的な方法は、人事部が、社員一人一人、と面談し、約1時間半ほどにわたって本音を聞いていきます。

とても手間と感じるかもしれませんが、活用できる調査をするためだと思ってください。
そして重要なのは、面談場所です。

従業員の守秘義務を守るためにも、社長や直属の上司などに声が聞こえない場所で行うように配慮しましょう。

オススメの調査項目やヒアリングのポイントとは

今回私がオススメするヒアリングポイントも一部記載いたします。

ぜひご参考ください。

詳細については、著書「人事部のつくりかた」をご覧ください。

  1. 役職
    質問例)現在の役職には適切と思うか、役職の決め方で理想的なものはあるか。
  2. 基本給
    質問例)現在の基本給は適切か、理想的な体系はあるか。
  3. 賞与
    質問例)現在の賞与の決め方や金額は適切だと思うか。その理由は何か。
  4. 諸手当(家族手当・皆勤手当・交通費など)
    質問例)現在の諸手当の設定は適切と思うか。
  5. 福利厚生
    質問例)理想的な福利厚生制度はどのようなものだと思うか。
  6. 休日・休暇
    質問例)現在、年次有給の消化率はどうか。休日や有休などの設定や運用は適切か。
  7. 残業
    質問例)一日の平均残業時間と主な理由は何か。現在の残業時間は適切だと思うかどうか。
    年間・月間で多い時期、少ない時期はいつか、その理由は何か。
  8. 人事評価
    質問例)人事評価制度、評価基準などは適切か、そう思う理由は何か。
  9. 目標管理・ノルマ
    質問例)ノルマの設定は適切か、どのようなものが妥当と考えるか。
  10. 人材育成・採用
    質問例)これまでに会社が実施してる採用活動は適切だとおもうか。そうだと思う具体的な理由は何か。
    実際にOJTなど、社員研修は適切に行われているか。
  11. 人間関係・コミュニケーション
    質問例)現在の社内の人間関係は良好か?そう思う具体的な理由は何か。
  12. 会議・朝礼
    質問例)現在の状況、また、会議や朝礼の負担などあるか、運営は適切か。
  13. 労働環境(レイアウト・温度・喫煙など)
    質問例)現在の労働環境は適切か。
  14. その他

従業員意識調査をどのように人事部で活用すればいいのか

例えば、賃金制度を改革する際に様々な方式があるのは、ご存知でしょうか。

中小企業の中には、社長の主観的な想像で従業員の賃金を決めていることも少なくないです。

そのような主観を払しょくするために賃金制度を作成するのですが、作成段階で、この従業意識調査の2.基本給・3.賞与・4.諸手当などの意見を参考にすることで、どの方式が自社に適しているのか選ぶ参考になります。

他にも等級制度など、人事部の制度設計を検討する際に調査をより細かくしておくことで選択の指針の一つになります。

企業と従業員の成長につながる「人事評価」3つの基準とは?

従業員意識調査の結果をフィードバックするべきか

答えはYESです。

調査後どのように社内へフィードバックすればよいでしょうか。

人事制度改善のために使うので、別に公表する必要はないという意見も聞きますが、公表するほうが、従業員の調査協力が高いといわれています。

よく社内で取られるアンケートや調査などにおいて、答えたがあの後どうなったんだろうという声も聴くことがあります。

なにかの形で(人事制度にこのような意見が多かったので反映しました等の説明)公表したほうがいいでしょう。

ネガティブフィードバックは現代の上司に必要なアメとムチ

まとめ

従業員意識調査は、現場の声を人事や会社の改革に取り入れることのできる大事な調査です。

活用できる調査にして、その調査を生かせるようにこころがけるためにも、なぜこの調査が必要かを今一度考えてみましょう。

また活用できる調査にするためにも、守秘義務を守り、従業員の直属の上司や社長など評価する側に聞こえないように個室で面談するなど配慮し、従業員が話しやすい空気を作るのを心がけましょう。

幹部人材の育成・採用でお困りの方はお気軽にお問い合わせください

中小企業の経営を安定させるには、戦略と実務能力を兼ね備えたナンバー2の存在が欠かせません。

大橋高広は人事コンサルティング業務を通して、数多くの中小企業の経営者や現場スタッフとの面談を繰り返してわかってきた、幹部人材の育成や採用を成功させるメソッドを提供しています。

「会社の経営を安定させたい」「現場スタッフが生き生きと働ける職場環境を作りたい」「ナンバー2をはじめとした幹部社員を育てたい」とお考えの経営者はぜひお気軽にお問い合わせください。

    人事で損する『企業』と『人』をなくしたい

    会社にとって、莫大な利益流出につながる『採用費』。実は職場が良くなれば、採用には困りません。職場の良さを発信するだけで人は集まります。リファーラル採用(口コミ)もできます。さらにスタッフも定着します。だからこそ、いつまでも利益を採用費に垂れ流すのではなく、人事に取り組んで、良い会社をつくって欲しい。そう考えています。

    スタッフにとって、キャリアアップは重要な課題です。そのために、さらに『実務スキル』をきわめていこうとする方が多いです。しかし、一定レベルまで昇格すると頭打ちします。それは、部下を育てたり、チームの成果を上げるという『マネジメントスキル』が不足しているからです。皆様にはぜひマネジメントスキルを身につけていただき、さらに活躍の幅が広げて欲しい。そう願っています。

    この機会に、ぜひ人事テンプレート12選をダウンロードしてください。そのことが、皆様にとって『人事』や『マネジメント』について考えるキッカケとなりましたら嬉しいです。

    ABOUT US
    大橋 高広
    株式会社NCコンサルティング 代表取締役社長|人事コンサルタント・研修講師|東洋経済オンライン記事投稿・日本経済新聞での書籍紹介│新刊『リーダーシップがなくてもできる職場の問題30の解決法』(日本実業出版社)Amazonランキング「マネジメント・人材管理」6位│その他著書『バカはブラック企業に入りなさい』(徳間書店)、『人事部のつくり方』(主婦の友社)│人事制度の設計と運用・管理職研修・職場改善研修・新卒研修・若手社員研修など「人事評価制度の設計と運営」を軸に、「組織文化形成・管理職育成・職場改善」など人事全般に関するサポートを提供